新家達弥

㈳技術知財経営支援センター 会員

ビジネスモデルの診断

自社のビジネスモデルを再構築するのに、「王道はない」と述べ、まず現状を把握し、課題の分析から考えられる対応策の検討・検証のスパイラルPDCA を回して行くと説明した。
そのために、自社の現在のビジネスモデルがどのような状況かをまず診断/把握することは不可欠であるが、意外と自社のビジネスモデルについて分析していないことが多い。
診断する項目としては下記があげられる。即ちまず自社の分析では、前稿で述べた孫子の「敵を知り、己を知れば、百戦してあやうからず」の言葉に従い行動することである。
・現在の自社のBM(ビジネスモデル)はどのタイプか?
・特徴は何か? 強みは何か、弱みは何か?内部環境は分析されているか?⇒SWOT 分析
・事業を取り巻く外部環境は把握されているか? 機会と脅威を具体的に分析しているか? 強みと機会の関連性は評価してあるか?
・改革の目的/目指すところ(ゴール)は明確に共有されているか?
・上記から、どのような対応案を検討したか? それはどんな内容か? それの実行や検証をどのように行ったか? その結果はどうか?
・または行えなかった理由/原因は何か?⇒「失敗に学ぶ」
・自社の立ち位置から、取り組めるBM はどんなものが考えられるか。実行可能性のあるものを三つ選択できるか? それぞれの効果/収益性は検証出来そうか?
・自社を変革し、イノベーションを起こす場合は何から手を付けることが有効か? または手を付けるべきことは何と思うか?
・イノベーションを起こすのは、製品か、プロセスか、サービスか、サプライチェーンか、組織か、マーケティングか?
・短期的戦略/施策と長期的戦略/施策がはっきりしているか?
・「Who-What-How-Why」は分析されているか?(分析シートがあれば書き込む。)


現状の把握と課題の抽出分析は自社の人間で行うのが良いが、人的リソースの関係からそれが出来ない場合は専門家とタイアップして行うことになる。基本となる分析法は3C 分析、SWOT 分析であるので、このポイントは押さえておくことが望ましい。
3C 分析でのポイントは、顧客の分析結果である。自社が対象とする/対象と出来る顧客であるか? 分析は定性的になっていないか? 定量的に分析できているか? 属性が明確になっているか? 自社のリソースはその顧客に対応したものになっているか? 競合他社の分析は総花的になっていないか? 他社の戦略は自社が対象とする顧客にフォーカスしているか? 他社が対象とする顧客と自社の顧客の差異は明確に把握できているか?
などなど、3C 分析では顧客の分析が十分に出来ていることがポイントである。
SWOT 分析でのポイントは、クロスSWOT 分析をしてあるかである。以前の投稿原稿でSWOT分析について解説したが、内部環境の強みと弱み、外部環境の機会と脅威だけのSWOT分析では不十分で、自社の戦略にこれらをどう組み合わせて、優先順位を付けた対応策を立案できるかがポイントである。そしてそれは経営トップの意思が反映されていなければならない。また、実行に必要な予算/リソースが無ければならない。                            

 (MOTIP 新家;nt-pro.office@ja3.so-net.ne.jp)