SWOT 分析とは
中小企業経営者は、自社の経営戦略の策定や事業計画書の作成で悩むことがあると聞く。
そして、その時に SWOT 分析を勧められることが多い。しかしその分析を部下に任せてはいないだろうか?
本来 SWOT 分析は経営トップも入って行うべきものである。なぜなら経営戦略に関係した情報や危機感はトップが一番掌握しており、それを盛り込んで分析するのが望ましいからである。少なくとも、SWOT 分析を理解していなければ、部下が作成した分析結果を適切に評価できない。そこで、本稿では「SWOT 分析のいろは」を解説したい。
経営環境が厳しい中で、生き残るためには自社の顧客は誰で、競合他社に対して自社の事業環境に基づいた経営戦略/事業戦略を全社で共有しておくことが必須であり、この時に役立つのも SWOT(スウォット)分析である。
SWOT 分析とは、自社の事業の状況等を、内部環境の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)と外部環境の機会(Opportunities)、脅威(Threats)の 4 つの項目で整理して、分析する方法であり、経営資源(内部環境)と市場機会(外部環境)を把握し、自社の事業に最適な組み合わせは何かを「漏れなくダブりなく(MECE)」検討して、経営戦略を立てるフレームワークである。
SWOT 分析を行う理由として、経営戦略の策定や事業計画書の作成のためというのが多いが、その背景には経営環境が変化して従来の事業戦略に行き詰まりを感じたためや、ライバル会社との競争に勝ち抜くための戦略の見直しやビジネスモデルの再構築が必要と感じたことなどがある。即ち企業として経営環境が厳しい中で生き残るために、孔子の「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」の言葉にあるように、現状を分析し、それに基づく戦略を常に持ち見直して行くことが必要であり、SWOT 分析はこのツールとなる。
そのために、まず自社の強みや弱みは何か? 外部環境の機会や脅威は何かを抽出する必要がある。内部環境(経営資源)は、自社が持つ有形・無形の資産であり、人的資産、土地、立地条件、生産設備、特許などの知的資産、ブランド力、ノウハウなどがある。外部環境(市場機会)は、自社を取り巻く経済環境、市場環境、競合他社状況、政策や法律、技術革新の状況、社会状況などがある。これらが、自社にとってプラス要因となるものを「強み」、「機会」とし、マイナス要因となるものを「弱み」「脅威」と分けて下図((出典:中小企業
庁 HP の資料)のように整理する。
プラス要因 | マイナス要因 | |
---|---|---|
内部環境 | 強み(Strength) 自社の持つ強みや長所、得意なことなど | 弱み(Weakness) 自社の持つ弱みや短所、苦手なことなど |
外部環境 | 機会(Opportunity) 社会や市場の変化などでプラスに働く こと | 脅威(Threat) 社会や市場の変化などでマイナスに働 くこと |
ここで、良く言われるのが、「うちにはこれといった強みはないが」とか「機会や脅威はどう見つければ良いのか分からない」といった質問である。
しかし、ここまで事業を続けてきたことは、何らかの強みがあるはずであり、それを抽出するのも SWOT 分析である。次稿でこれらについて説明する。 (MOTIP 新家)