前稿で「中小企業の経営者が必要とする人材はスペシャリストとジェネラリストのどちらか」と質問しT字型人材あると述べた。このことは間違いではないと思うがそれだけが解ではないだろ。T字型人材は前稿で述べたように「専門性を持ったジェネラリスト」と考えられる。即ち、
・一つの分野では深い知識・スキルを持ち(専門性)、その分野で頼りになる人材
・他分野とも連携できる幅広い知識やコミュニケーション力を持ち(汎用性)、経営マネジメント力のある人材
であるが、そのような人材は理想的な存在であり、誰でもがなれるわけではない。このようなT字型人材は次期経営者の有力候補であろうが、そのような人材ばかりいる会社は想像できないし、そこでの組織運営は難しいことも予想される。
また、初めから完成されたT字型人材を求めるなら、外部からキャリアアップした人材を見つけてこなければならないでしょうがすぐに充当できる保証はありません。そうでないならば可能性のある人間を育成してゆくしかありません。
育成ですが、小生が入社した会社では、まず逆T字型人材になれと言われた。逆T字型とはまさにT字型の逆で、新人は専門性の知識はそこそこあるが、汎用性は不十分な人材です。即ち、新人は会社が関連する業務や分野についての知識やスキルが不十分な状態のために、会社はまず会社員として全般に渡る基礎的スキルを人並に習得するとともに、一つの分野での業務スキルを高め、専門家として認知されることを目指せ、その分野・業務で余人に換え難き人材になれと育成・指導された。
そして、経験を積むことで専門スキルの幹を太くするとともに、業務に必要な全般的スキルやマネジメント力を向上させ、底辺の横軸を広げるとともに向上させてゆき、太い逆T字型人材に成長する。そして横軸を向上させ「十字型人材」に成長して行くことが期待された。
「十字型人材」の次が経験や知見を高度に積み重ね、横軸がさらにアップして「T字型人材」となり、それが認められ、管理・経営層になって行きます。
しかし、中小企業ではこのようなステップでの人材育成やスキルアップを誰でも修得させてゆくことは難しいと思われる。しかしながら、専門スキルを持った職人的な「I字型人材」や「逆T字型人材」は育てられ、また組織内に多く存在するようにはできるでしょう。
そこで中小企業では経営者は太い専門性を持ったT字型人材をむやみに求めるより、目利きスキルを持ち、太い専門性を持つⅠ字型人材や逆T字型の人材を生かした経営してゆくことが必要ではないだろうか?
なぜなら、中小企業には専門的スキルを持つ人材は現実にそれなりに存在しており、これらの人材を上手に活躍してもらいアウトプットを継続的に出させることが経営トップの手腕であり、会社を成長させる上で有効で、優先すべき施策であると思われる。
中小企業に限らず、組織は様々な人材を抱えており、経営者は多くのT字型人材を求めるのではなく、Ⅰ字型人材や逆T字型人材など種々のスキルを持つ人材を活用してゆくことが今後も求められます。そのために経営者は「必要な人材の目利き力」がより重要となるでしょう。
次期の会社経営に必要な人材の見極める力とは、現在仕事ができ優秀と思われる人を見抜く力だけではなく、会社の事業を維持し将来も発展させるために必要な役割を担える人材となるかを考察し、現在の能力だけでなく、将来必要と思われる人材や伸びしろのある人材を見抜くことが重要で、経営トップにはこの見抜く能力を鍛えておくことが一層求められる。
即ち、次の経営を担う人材は、現在の仕事ができる人だけではなく、5年後、10年後に会社が必要とする役割を担える能力を持った人材であることが求められます。そして、経営トップはそれを見極めて選びぬく重大な責任があります。
逆に、働く人間にとっては、T字型人材にならなくても、縦軸を強くして組織にとってなくてはならない、頼りになる人材となり、また逆T字型人材であっても活躍できる場を構築する「目利き力のある経営者」を見極め、そこで働くことを選択するといったことが必要になってくるでしょう。ある意味では、働く人間もそのような経営者のいる組織か、自分の力を活かせる組織かを見極める能力が必要になってきます。
中小企業の経営者には、自身がT字型人材であるとともに人材を見極めて組織の種々の人材を活かす能力が求められる大変な時代になっています。その一歩として、まずは耳が痛いことでも提言できる有能なブレーンを見極めて配置することからスタートして、見極め力を鍛えらることが期待されます。
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