新家達弥
新家達弥

㈳技術知財経営支援センター 会員

ビジネスモデルとイノベーション

ある人から、「ビジネスモデルにもイノベーションがあるのか?」と聞かれましたが、
皆さんはどう思われますか?
イノベーションについては、このコラムで以前に投稿したので、読まれた人もおられると
思いますが、「新しい価値を生み出し、経済や社会にインパクトを与える変革をもたらすこ
と」と理解すれば、ビジネスモデルについても従来にない価値をもたらしたものを基に企業
経営を成功させた事例はビジネスモデルイノベーションと見なして良いと考える。
現在日本のモノづくりやサービスは、新たな付加価値や利益を生み出しにくくなってい
るといわれている。日本の企業の強みであるモノづくり力だけでは、企業の発展が出来難く
なってきているのは何故か? 製品の品質や製造プロセスの重要性が低下したわけではな
いが、事業の成否を握る鍵ではなくなってきたと言える。ダントツの品質を求める顧客はあ
るが、それなりの品質があれば価格が優先する顧客層は多く、「適質適価」が顧客ニーズに
なっている。新興国の製品の品質は徐々に上昇して来たことで、特定市場以外での日本企業
の高品質の優位性・差別性が少なくなってきたことも原因とみられている。
一方で、ビジネスモデルイノベーションを実施した企業は、製品や技術の革新性がなくて
も競争で優位に立っている例からビジネスモデルの革新性が重要視されてきて、中小企業
でも、自社の事業、自社のビジネスモデルを見直す必要が出てきている。
ここで、自社の特徴は何か? ビジネスモデルとは何かを考えると、ビジネスモデルは、
「ある業界を前提とした競争優位獲得を目的とした仕組み」とか、「4 つの要素からなる顧
客価値と利益を継続的に生み出すビジネスの設計図」といわれていることが参考になる。
ここでのビジネスモデルの要素とは、①顧客に提供できる価値、②儲かる仕組み、③経営
資源、④業務プロセス、あるいは、①Who(顧客は誰?)、②What(提供価値は何?)、③
How(どのような提供手段で)、④Why(なぜ利益を生むか)である。この 4 つの要素を自
社のビジネスモデルではどのように革新するか、どのような仕組みにするかで、自社のビジ
ネスモデルが定義される。他社との差別化を実現し事業に成功することで、ビジネスイノベ
ーションを起こしたと言える。貴社の身近な所で、従来のビジネスモデルを革新し、事業に
成功した(イノベーションを起こした)企業はないだろうか?
ところで一般にビジネスモデルは、グローバル化やITの進歩など社会環境、経済環境に
よりそのライフサイクルもいつかは衰退化・老朽化に移行すると考えられるため、企業は生
き残るためにもビジネスモデルの継続的な点検や革新が必要で、一度定義したらそのまま
で良いとは言えない。
特に中小企業は、経営環境の変化に影響されやすいと考えられるので、自社のビジネスの
4 つの要素を常に確認して、革新してゆくことが欠かせない。
では、自社のビジネスモデルを定義し、Who-What-How-Why をどのように確認し、課題
を見つけ、改善して行けば良いのか? また、自社のビジネスモデルをどのように革新して
ゆくのか? 中小企業の経営層が取り組みやすく、実行できる方法はないのだろうか?
(次稿に続く)                          (MOTIP 新家)