新家達弥

㈳技術知財経営支援センター 会員

― 「話が分からない」と言われた時の5W1Hの確認 ―

 会議などで話をした時に「話が分からない」と部下や関係者に言われたり、質問されることがある。その時に思い起こすべき名言は「常に5W1Hを意識せよ/5W1Hを確認せよ」である。
「話が分からない」と言われた質問と原因は大略次のようであり、それぞれの対策もある。
① 一番目の質問は「何の話か? 報告・連絡・相談なのか? 簡単に言うとどういうことなのか?」で、その原因は「話が回りくどくて長い、いきなり詳細な話をされても何の事か分からない、結論が見えない」であり、対策は「何のテーマの話なのかを最初に述べ、概要や結論を先に話をする」ことで何を言いたいか、「What」を第一に理解してもらう。
② 二番目の質問は「具体的/詳細に言うとどういうことなのか?」で、その原因は「話が抽象的、大雑把過ぎてイメージがわかない、具体性に乏しく自分達の場合どうなのかが分からない」であり、対策は身近な具体例や比喩を使ったり、図表で示すことで自分たちに関係する課題として理解してもらう。また大括りの話を細分化し足り、複数の要素に分けて説明することで「What」の詳細を理解してもらう。
③ 三番目の質問は「それは何故なのか? 何が原因なのか?どこが問題なのか?」で、その原因は「話の妥当性が見えない、主張の理由が分からない、原因が説明されていない」であり、対策は納得できる理由やそれがなぜ問題となったかの理由を説明することで「Why」を理解してもらう。
④ 四番目の質問は「いつまでに、どこまでやるのか?」で、その原因は「期限と到達点のスケジュールが説明できていない」であり、対策は何時までに何を何処までに、を明確にスケジュールで示すことで、「When」「Where」を理解してもらう。
⑤ 五番目の質問は「誰が? 私は何をすればいいのか?あなたは何をするのか?」で、原因は「関係者が誰で、やるべきことが明確になっていない」で、対策は関係各自の役割や行動計画を説明し、それぞれがやって欲しいことを説明し理解して貰うことで、「Who」を明確にして課題の解決や計画をどのように実行してゆくかの「How」を示し、手段や手順が上手く行くという論拠を示すことである。

 正に、5W1Hを明確にして示すことが大切であり、5W1Hは関係者に情報を過不足なく、正確に伝えるためのフレームワークである。先人が5W1Hを重要と言っているのは関係者全員が自分たちに関係するものとして納得感を得るために必要なことである。
 ここで、5W1Hの順番は 伝えたい内容の重要度に応じて、順番を入れ替えても良く、情報も冗長にならないように、量を調整することは必要である。また、情報は具体的にするよう心掛けることで、明確な情報伝達が可能となる。そして 必要に応じて、コスト(How much)や量(How many)などを加えた5W2Hや5W3Hといった拡張版フレームワークも活用したい。
 即ち、5W1H(What:何を、Why:なぜ、When:いつ、Where:どこで、Who:誰が、How:どのように)が重要である理由は、主に情報の明確化と円滑なコミュニケーションによる業務の効率化の実現にあると言われ、以下の点が挙げられる。
・情報の正確性を高め、過不足を防ぐ: 5W1Hの各要素を含めることで、伝えたい情報の要点を網羅し、必要な情報が漏れることを防ぐ。これにより、受け手は何をすべきか、なぜそれが必要かを正確に理解できる。
・誤解や行き違いの防止: 情報が明確になるため、解釈の違いによる誤解や認識の齟齬が減り、手戻りや余計な確認作業を削減できる。
・思考の整理と効率化により論理的思考を助ける: 情報を伝える側も、5W1Hのフレームワークに沿って考えることで、自身の思考を整理でき、論理的で説得力のある文章や話を構成できるようになる。
・責任の所在の明確化: “Who”(誰が)を含めることで、誰がそのタスクや責任を負うのかが明確になり、責任感を持って業務に取り組め、計画の信頼性を得る。
・計画・戦略の具体化: 企画書や報告書などで5W1Hを用いることで、計画の方向性が明確になり、目標達成に向けた具体的な行動指針を立てやすくなり業務効率を向上する。
 是非とも、5W1Hをマスター頂きたい。

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