―ビジネスモデルの事例2―
2)サービス企業向き ビジネスモデル
事例7:無料(フリー)/フリーミアム: サービスを無料(フリー)で提供して多くの顧客を獲得し、利用頻度の高いユーザー 向けに高度な機能や使い勝手の良いプレミアム版を別途揃えておき、これを購入してもらうビジネスモデル。 無料インターネット電話「スカイプ」、 PCのフォルダをクラウド上に保存する「ドロップボックス」等。いずれも有料版があり、機能アップされたものが 提供されている。 IT化されているためコンテンツ やサービスの無料分の提供コストが少なくて済むことで 成立するモデル。
Whoはユーザー 、Whatはサービス機能の無料提供 、HowはIT化することで、コストの安い無料のお試し品や期間で利用価値を評価して貰い、ユーザーを獲得 、Whyは利用価値を認めたユーザーを機能アップした有料版に誘導移行。
事例8:ノンフリル (装飾(フリル がない) ):なくても支障がない余剰サービスを省き、コアのサービスだけを質を下げることなく低価格で提供するモデル。代表例は LCC(ローコストキャリア)。QBハウスも 1000 円カットで成功。あくまでもコアとなるサービスの質は下げないことが顧客の支持を得る上で重要。カーブス(フィットネス)、 IKEA(家具)、スーパーホテル(ビジネスホテル)などもこのモデル。 Whoは顧客 、Whatは本質的価値の提供 、 Howは無駄を省いた、余剰部分を削除した商品/サービス 、 Whyはシンプルにして、余分な所のコストを削除することで利益を確保 。
事例9: 富山の薬売り方式( ペイアズユーゴー):「使用した分だけ支払う」従量制の課金形態によって、顧客の納得感・お得感を与えるモデル。水道・ガス・電気代も基本分はあるが 、使用した分だけ課金される点でこのモデルと言える 。「富山の置き薬」は、使用しなければ課金はゼロ。オフィスグリコは、職場に菓子専用の箱を設置し、食べた人が貯金箱に100円投入する富山の薬売りのお菓子版。Who は消費者 、Whatは 納得感・お得感の提供、Howは消費期限の長い商品のパックを提供し、その中で必要なものを購入してもらい、定期的に補充する 、Whyは消費されたものを確実に課金収入でき、未消費品は巡回利用し無駄を回避。
事例10:プラットフォーム:売買や情報交換などを目的とした「場」を提供するビジネスモデル。ショッピングセンターが代表例であるが、最近はネットを使った楽天市場のようなネットショッピングモール、フェイスブックなどのSNS 、グーグルのような検索エンジン、ヤフーオークションなど、JCBなどのクレジットカードも「場(プラットフォーム )」と言える。利用する人や企業が増えれば増えるほどプラットフォームの価値が高まり、多くの 収益を生む。Whoはユーザー(利用会社、消費者 )、 Whatはユーザーが利活用する場の提供、 Howは利用会社が構築困難なプラットフォームを構築 管理し簡単に利用できるようにし、消費者も呼び込む 、Whyは多くのユーザーに参加してもらい 利用料金を取る。
事例11:フランチャイズ:優れた商品やサービスを持っている企業が、そのビジネスを希望する事業者に「ビジネスを行う権利」を与える。コンビニエンスストアやファーストフードが典型例。公文式学習塾、大黒屋(金券ショップ)もこの例。
Whoは商品やサービスの利活用するユーザー(事業者)、Whatは成功度の高いビジネスを行う権利と運用ノウハウの提供、Howは商品の運搬提供などハード機能から経営指導/支援などのソフト機能を一括(丸抱え)で提供、Whyは出先店舗の準備はユーザー(事業者)が負担とし、フランチャイズフィーと商品/サービスの売り上げが収益。
ビジネスのモデルは一つと限らない。複数のビジネスモデルを組み合わせて、貴社に合ったビジネスモデルを構築して頂きたい。先稿で紹介した参考文献には、その他、定額制、ダイレクト、ブルーオーシャン、などのビジネスモデルの例も紹介されているので、関心のある読者は是非参照してください。
成功しているビジネスは、戦略だけで競争優位になっているのではなく、その戦略を支える仕組み/組織を含めた事業体として強いものになっていることが分かる。
(MOTIP 新家;nt-pro.office@ja3.so-net.ne.jp)